親御さまの介護が必要になると、病院への付き添い、ケアマネジャーとの打ち合わせ、介護施設の見学、役所での手続きなど、想像以上に多くの対応が必要になります。仕事をしながら進めているご家族にとっては、「平日に休めない」「職場にどこまで話せばよいか分からない」「このまま仕事を続けられるのだろうか」と不安になることもあるのではないでしょうか。
介護は、ある日突然始まることがあります。退院日が近づいてから慌てて施設を探したり、仕事の合間に電話や見学を重ねたりする中で、ご家族だけが負担を抱えてしまうケースも少なくありません。しかし、仕事と介護の両立には利用できる制度や相談先があります。本記事では、介護離職を防ぐために知っておきたい制度と、早めに相談したい窓口についてわかりやすく解説します。
仕事と介護は「一人で抱え込まない」ことが大切
親御さまの介護が始まると、家族だから自分が何とかしなければならないと感じる方も多いと思います。特に、仕事をしている方は、勤務時間中に病院や施設から連絡が入ったり、急な受診や手続きが必要になったりすることで、心身ともに負担が大きくなりやすいものです。
大切なのは、介護を「家族だけで直接行うもの」と考えすぎないことです。介護保険サービス、介護施設、ケアマネジャー、地域包括支援センター、勤務先の制度などを組み合わせながら、仕事を続けられる体制を整えていくことが重要です。
介護離職を考える前に、まずは使える制度と相談先を確認しましょう。退職してしまうと収入面の不安が大きくなるだけでなく、再就職が難しくなる場合もあります。すぐに結論を出さず、周囲に相談しながら現実的な方法を探していくことが大切です。
仕事と介護の両立に関わる主な制度
仕事をしながら親御さまの介護に関わる場合、知っておきたい制度として「介護休業」と「介護休暇」があります。名前が似ていますが、利用する場面が異なります。介護休業はまとまった期間休むための制度、介護休暇は通院付き添いや手続きなど、短時間・単発の用事に使いやすい制度です。
| 制度 | 主な内容 | 活用しやすい場面 |
|---|---|---|
| 介護休業 | 対象家族1人につき、3回まで、通算93日まで取得できる休業制度 | 介護サービスの手配、施設探し、家族内の役割分担、今後の介護体制づくり |
| 介護休暇 | 対象家族が1人の場合は年5日まで、2人以上の場合は年10日まで取得できる休暇制度 | 通院の付き添い、ケアマネジャーとの打ち合わせ、役所や介護保険の手続き |
| 短時間勤務等の措置 | 短時間勤務、時差出勤、フレックスタイムなど、会社が定める両立支援の制度 | 定期的な見守り、通院対応、施設との連絡が必要な時期 |
| 所定外労働・時間外労働・深夜業の制限 | 一定の条件を満たす場合、残業や深夜勤務を制限できる制度 | 夜間の呼び出しが心配な時期、家族の生活リズムを整えたい時期 |
制度の利用条件や申請方法は、雇用形態や勤務先の就業規則によって確認が必要です。まずは会社の人事・総務担当者、上司、社内相談窓口などに「親の介護が始まり、制度を確認したい」と相談してみましょう。
介護休業は「介護を続ける体制を整える時間」
介護休業と聞くと、「自分が親の介護をするために長く休む制度」と考えがちです。しかし、介護休業は、家族がすべての介護を担うためだけの期間ではありません。仕事と介護を両立できる体制を整えるために、介護サービスや施設、家族内の分担を考える時間として活用することが大切です。
たとえば、退院後の生活が不安な場合は、ケアマネジャーと相談して介護サービスを調整したり、介護施設への入居を検討したり、兄弟姉妹や親族と今後の役割分担を話し合ったりする必要があります。仕事を続けながら短期間ですべてを行うのは大変ですので、必要に応じて介護休業を体制づくりの時間として考えましょう。
また、一定の条件を満たす雇用保険の被保険者は、介護休業期間中に介護休業給付金を受けられる場合があります。給付の詳細はハローワークや勤務先に確認が必要ですが、経済的な不安を軽減する制度として知っておくと安心です。
介護休暇は、通院や手続きなど「スポット対応」に使いやすい
介護休暇は、通院の付き添い、介護保険の申請、ケアマネジャーとの打ち合わせ、施設見学など、短時間または1日単位の対応に使いやすい制度です。親御さまの介護では、まとまった休みよりも、平日に数時間だけ抜けたい、午前中だけ手続きに行きたいという場面が多くあります。
介護休暇は、会社の年次有給休暇とは別に定められている制度です。ただし、介護休暇中の給与が有給か無給かは会社の規定によって異なります。実際に利用する前に、勤務先の制度内容を確認しておきましょう。
| よくある用事 | 活用しやすい制度 | 事前に確認したいこと |
|---|---|---|
| 病院への付き添い | 介護休暇、有給休暇、時間単位休暇 | 何時間単位で取得できるか、当日申請が可能か |
| 介護保険や役所の手続き | 介護休暇、有給休暇 | 必要書類、窓口の受付時間、代理申請の可否 |
| ケアマネジャーとの面談 | 介護休暇、時間単位休暇、在宅勤務 | オンラインや電話での相談が可能か |
| 施設見学・入居相談 | 介護休暇、有給休暇、半日休暇 | 見学時間、家族の同席、持参資料 |
| 急な体調変化への対応 | 介護休暇、会社の特別休暇制度 | 緊急時の連絡方法、誰が対応するか |
相談先を分けて考えると動きやすくなる
仕事と介護を両立するうえで悩ましいのは、何をどこに相談すればよいのか分かりにくいことです。介護の内容、制度のこと、施設探し、職場への相談は、それぞれ相談先が異なります。困りごとを整理し、適切な窓口につなげることで、ご家族の負担を減らしやすくなります。
| 相談したいこと | 主な相談先 | 相談できる内容 |
|---|---|---|
| 介護サービスの利用 | ケアマネジャー、地域包括支援センター | 訪問介護、デイサービス、福祉用具、在宅生活の支援 |
| 退院後の生活 | 病院の医療ソーシャルワーカー、退院支援窓口 | 退院後の介護体制、施設入居、医療ケアの引き継ぎ |
| 施設入居の相談 | 介護施設の相談員、施設の問い合わせ窓口 | 空室状況、費用、受け入れ条件、見学、入居までの流れ |
| 仕事の休み方 | 勤務先の人事・総務、上司、社内相談窓口 | 介護休業、介護休暇、時短勤務、在宅勤務、勤務調整 |
| 制度の一般的な確認 | 都道府県労働局、ハローワーク | 育児・介護休業法、介護休業給付金、雇用保険に関する確認 |
相談するときは、「何に困っているか」を完璧に整理できていなくても大丈夫です。「仕事をしながら親の介護に対応しており、今後どうすればよいか不安です」と伝えるだけでも、必要な窓口につながりやすくなります。
仕事を続けながら施設探しを進めるポイント
親御さまの状態によっては、在宅介護だけでなく介護施設への入居を検討することもあります。仕事をしながら施設探しを進める場合は、限られた時間で情報収集や見学を行う必要があるため、事前準備が大切です。
- 本人の状態を整理する:要介護度、認知症の有無、医療ケア、歩行や食事の状況をメモしておきましょう。
- 家族の希望条件を決める:費用、場所、面会のしやすさ、医療対応、入居時期の優先順位を整理しましょう。
- 見学日程をまとめて調整する:平日に休みを取る場合は、複数施設を同じ日に見学できるか相談してみましょう。
- 施設への質問を事前に用意する:費用、夜間体制、急変時対応、面会方法、入居までの日数を確認しましょう。
- 家族内で役割分担をする:問い合わせ、見学、書類準備、費用確認などを一人に集中させないことが大切です。
仕事と介護を両立するためには、「すべてを自分で調べる」のではなく、相談できる相手を早めに見つけることが大切です。施設の相談員に現在の状況を伝えれば、入居までの流れや必要な書類、見学時に確認すべきことを案内してもらえる場合があります。
介護離職を考える前に確認したいこと
仕事と介護の両立が難しくなると、「仕事を辞めるしかないのでは」と感じることがあります。しかし、退職は大きな決断です。収入や社会保険、将来の生活設計に影響するため、すぐに判断せず、利用できる制度や外部サービスを確認してから考えることをおすすめします。
| 確認したいこと | 具体的な確認内容 |
|---|---|
| 勤務先の制度 | 介護休業、介護休暇、時短勤務、在宅勤務、フレックス勤務が使えるか |
| 介護サービス | 訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具などを利用できるか |
| 施設入居の可能性 | 本人の状態に合う施設、空室状況、費用、入居時期を確認する |
| 家族内の分担 | 兄弟姉妹や親族で、通院付き添い、金銭管理、連絡係を分けられるか |
| 経済面 | 介護費用、生活費、休業中の給付、退職後の収入見通しを整理する |
介護は長期にわたることがあります。最初から無理をしすぎると、ご家族自身が疲れてしまいます。仕事を続けることは、経済面だけでなく、ご家族自身の生活を守ることにもつながります。だからこそ、制度や相談先を活用しながら、続けられる形を考えていきましょう。
まとめ:仕事と介護の両立は、早めの相談と体制づくりが大切
仕事をしながら親御さまの介護に向き合うことは、決して簡単ではありません。通院、手続き、施設探し、家族間の調整など、やるべきことが重なると、誰でも不安になります。しかし、介護休業や介護休暇などの制度、ケアマネジャーや地域包括支援センター、病院の相談員、施設の相談窓口など、頼れる先は複数あります。
介護離職を防ぐためには、早めに相談し、家族だけで抱え込まないことが大切です。介護休業は、介護を一人で担うためだけではなく、仕事と介護を両立する体制を整えるための時間として活用できます。介護休暇は、通院や手続き、施設見学など、日々のスポット対応に役立ちます。
「何から相談すればよいか分からない」という段階でも問題ありません。親御さまの状態、退院時期、家族の状況、仕事の都合を少しずつ整理しながら、必要な支援につなげていきましょう。
サフィールへのご相談
サフィールでは、岐阜県内に複数の介護施設を展開し、ご本人の状態やご家族のご事情に合わせた施設選びをサポートしています。仕事をしながら施設探しを進めている方、退院後の入居先を急いで探している方、在宅介護を続けるか施設入居を考えるか迷っている方も、まずはお気軽にご相談ください。
※この記事の内容は2026年6月時点で確認した厚生労働省の公表情報等に基づいています。介護休業、介護休暇、給付金、勤務制度の利用条件は、雇用形態や勤務先の就業規則によって異なる場合があります。最新情報は勤務先、都道府県労働局、ハローワークなどへご確認ください。
